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■ 「ありえない転移」に関する報告書より抜粋・編集
□ ミューズ・ティンバーランド発表
# 「File: OVERFLOW」

 説明できないからこそ「ありえない転移」と呼ばれているわけで。『リーヴェンデル』にしろ『カルヴァンクス』にしろ、完全にその原理を理解して使用しているわけではなく、数学の授業のように「手段」を学習したから使用できているだけです。

ここで言う「考電理論」は物質が情報世界に遷移するための理論ではなく、情報つまり考子を如何にして減少させるかという観点で説明されたもの。情報転移に関してまでは言及していません。

「ありえない転移」に関する仮説を説明するためには、物質世界と情報世界の在りようから説明しなければならないでしょう。
「情報世界」というもの。「情報」というもの。それは物質が存在することによって発生する、主に形容詞的な“状態を表現”するものです。物質世界の物体の存在によってそこから情報が生まれるとすれば、情報世界ではその存在すらも「在る」という情報にしか過ぎません。「情報」を「意味」と解されるのでしたら、「存在」こそが「意味」であるわけです。もとより「情報」に意味を見出すのは人間がそれを受け取るからであって、情報自体が意味ではありませんが。

「物体」と「情報」は表裏一体であり、分かつことができるものではありません。しかし、その「情報」に「状態・性質」というものだけは完全に残し、「在る」という情報だけを消去したらどのようなことが起こるでしょうか。
 するとその物体は「存在しない」にも関わらず“形”や“色”を持つという矛盾した状態に遷移します。つまり、本来情報世界と物質世界の双方の最小単位(原子と考子)で構成されていた物体が、“物質世界への存在”という情報を失うことによって“情報だけが構成”されるという状態で残ります。これが、情報世界への遷移であると考えられます。
 「物質世界」から「情報世界」に“移動”するわけではなく、“肉体”を失うだけ。端的に言って「肉体なんて無意味なもの」と言い換えることもできるでしょう。

 しかし情報は物質世界の物体に固定される性質を持っています。裏を返せば“物質世界の存在”を失った状態が長期に渡れば情報を固定する“錨”がないため、拡散を始めます。つまり情報は物体によって常にリフレッシュされる必要があるのです。その情報が考子に拡散した時点で情報が失われ、“成仏”します。人の意志が考子まで拡散することを「ホワイトアウト」と表現してもいいかも知れませんね。

 前振りが長くなりましたが主題の「ありえない転移」に話を移します。「ありえない転移」が発動する条件は、「物理情報媒体」の「許容量」を超えた「情報」が流入し、保存されようとすること。許容を超えた動作を要求された場合に、機械はどんな反応を示すでしょうか。当然不安定になりますね。場合によっては、「File Write Error」が発生することもあり得るわけです。“プログラムの誤動作でシステム領域を書き換える”ことを、プログラマの皆さんであれば経験したことがあるかも知れません。

 もしそれが、「物理的存在」や「物理空間的位置」に関わる「情報」であった場合にはどうなるか想像してみて下さい。物理的な「存在」や「位置」が失われ、物理的に不安定な状態に、その物体は置かれるわけです。 これを証明する根拠として、「ありえない転移」によって起こる副作用があげられます。「転移者」がよく「知った」もので無ければ「物体の損壊」が発生し、「情報世界に流浪」という結果に陥ります。これをそれぞれ説明してみましょう。

 「ありえない転移」を起こした物体をよく知らなければ「物質的損壊」が起こるということは、「ありえない転移」に関わっている方で在ればご存知であると思われます。しかし「物質的損壊」を起こす原因が“物理的”である必要がないことを、ここまで読んでこられた皆さんならば理解しておられることでしょう。つまり、過剰情報により“上書き”されて消滅してしまった情報を正しい情報で再度“上書き”することができなければ、その「物質」が消滅します。正しい情報とは、副作用を防ぐ条件である「よく知ったもの」に相当します。  つまり保険としての“物理的存在情報の保存”が必要なわけです。「Write Error」で“上書き”され消滅しても、即座に復旧を行うことができるように。

 さらに、正確な「物理空間的位置情報」がないことには情報世界から“還ってこられない”とも言われます。 しかし、実際のところは「物理空間的位置情報」を失うために「物理的空間」に存在することができなくなるために「情報」だけが情報世界に「保存」されてしまった状態を指します。

 ならば正確な「物理空間的位置情報」とは何を指すのでしょう。まず主な手段である「三点ネイバーリンク」ですが、これは「三角測量」にも見られるように「空間的位置情報」を得るには他二点からの情報が必要不可欠であることを意味します。仮に二点のみ、つまり起点と終点のみの情報だと「距離」が不明確になってしまうために「位置情報」が乱れ、ユリウスが体験したような“体が引き裂かれるような”状態が導かれます。

 そして、「情報的位置情報」を元にするのが「目的地」を「三角測量」の一点に設定した転移となります。 この「情報的位置情報」というのは「宇宙の絶対座標」とも言うべき位置情報を、情報世界の性質を利用して他二点からの相対座標に変換するということを指します。キージェの言った“見方によって「情報」が姿を変える”ということですね。

 結論をまとめれば、“「ありえない転移」とは「情報」のオーバーフローによる誤動作を利用したバグ技である”ということになるでしょうか。

 さて。こんなものでいかがでしょうか。
 「考電理論」による「ありえない転移」の説明は困難と言うよりも「不可能」に近いと思いますので、同理論による説明ではありませんが、これで「ありえない転移」の説明に代えさせていただきます。

# EOF.

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■筆者より
 最後まで読んで下さった方に感謝いたします。
 PC名を貸していただいているミューズ嬢と、新情報が入る度に連絡と転載を行って下さるいもーと氏にも感謝を。

 「考電理論」や「ありえない転移」等、N98世界に関する考察への疑問や別の事項に対する説明など諸々は、以下のe-mailアドレスで受け付けています。
 それではまた。
 2081年にお会いしましょう。

(e-mail:kzhn4a@mail.raidway.ne.jp)
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