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夜那瀬文庫:講師篇

<オープニング>
 殲鬼王に蹂躙され、国土が荒廃した夜那瀬を復興させるのは容易い事ではない。夜那瀬の国を復興させ、更に発展させるためには十年先、二十年先の未来を見つめる必要がある。
 指導者である迦煉はその事を踏まえて、ある計画を立てていた。
「それが、国に学問所を作ることだ。貧富の差に関係なく、老若男女を問わず受け入れることの出来る学問所、名づけて『夜那瀬文庫』を私は作りたいと考えている。実際、その場所の建築は既に完了し講師陣もほとんど揃っている。後は最後の仕上げなのだが‥‥」
 迦煉のこの計画の力の入れようは相当のもので、この夜那瀬文庫の学長には夜那瀬の国でもその名を知られた最高の学者を招こうと考えていた。
「林大学という男なのだが、なにせ気難しい男でな。説得に大分時間がかかってしまったが、未来の夜那瀬、いや中つ国に有用な人材を育成したいという私の考えにやっと賛同してもらい、こちらに来て貰うことになったのだ。しかし、その彼を殲鬼が狙っているという予知がでたのだ」
 夜那瀬の国が栄えることは殲鬼とって喜ばしいことではない。逆に、夜那瀬の国が国を上げて動いている計画が失敗すれば、国民の落胆もかなりのものだろう。
「殲鬼の名は『北斗星君』。非常に頭のいい殲鬼で林大学に討論による勝負を挑んでくるのだ。討論の議題は『人間と殲鬼の存在の優劣』。人間は愚か故、中つ国が治めうる器量がないことを彼は林大学に突き詰め、追い詰めるつもりなのだ。そして、林大学との討論の最中に殲鬼の優勢を知らしめるため周りの人間を喰らおうと企んでいる。そうすれば『人は殲鬼に勝てない絶望感とそれを止めることのできない学問の無力さ』を彼に思い知らせることができる。現実的に彼では殲鬼の蛮行を食い止める事はできないからな」
「なら、そいつが現れたらすぐに倒してしまえば‥‥」
「いや、野蛮な行為は林大学が最も嫌う行為だ。無理に北斗星君と戦おうとすれば、彼が怒って学長になることを辞退することになってしまうかもしれない。それでは元も子も無いだろう。だから、殲鬼が林大学の周りにいる教師たちを殺そうとしたその時を狙って、阻止してほしいのだ」
 かなり難しい依頼である。人が襲われるその瞬間を待って、護りながら殲鬼を撃破せよというのだから。最後に迦煉が付け加えた。
「ただ、林大学も幾分狭量なところがある。諸君らサムライのように武で事を決する輩を見下すところがあってな。できればそれを正す機会になってくれればと私は思っているのだよ」

●マスターより
 林大学は学者ですので、それに対応できような趣味があると会話がスムーズに進むかもしれません。
 ただ、それだけですと林大学を説得するのに足りないかもしれません。彼に好感を持たれるのは、己の考えをしっかり持っている人間です。彼を説得できないと、依頼が失敗になってしまいますので注意してください。
 また、死人が一人でもでた場合も失敗となります(重傷は問題ありません)。

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